病院に行ったほうがいい「できもの」の特徴は?

<2020年6月18日 初回投稿:2021年1月5日 リライト> 

病院に行ったほうがいい「できもの」の特徴は?

皮膚のデキモノは誰しも1つや2つ、体のどこかに持っているものです。大抵は良性のできもの(皮膚腫瘍・皮下腫瘍)であり、それほど急ぐ必要はないものです。ただし、中には炎症を伴ったり、悪性に分類されるデキモノも存在します。一般の方でもわかる、「病院に見せにいったほうがよいデキモノ」とはどういったものか、解説します。

最近急に黒いホクロのようなデキモノが顔に出現、徐々に大きくなって時々血が出る。(基底細胞癌を疑う)

基底細胞癌

このような訴えの患者さんが来院され、年齢がご高齢であれば、問診だけでも「基底細胞癌」を気にしてしまいます。この時の形成外科医的なキーワードは「時々血が出る」です。

実は「ホクロが大きくなった」という訴えだけであれば、本当に「色素性母斑(ホクロ)」や「脂漏性角化症」という良性の皮膚腫瘍を思い浮かべます。これらは、見た目に目立つとか、引っかかるとか、かゆいなど、嫌な症状があれば切除しますが、そうでもなければ放っておいても特に問題はありません。

「出血する黒いデキモノ」は経験上かなりの確率で悪性の診断がつくことが多く、もし思い当たるようであれば是非形成外科受診をオススメします。基底細胞癌という、表皮の最下層である基底層や毛包などを構成する細胞から発生する皮膚癌は、顔面に多く、見た目はホクロと見分けがつかないことも多いです。

サイズが大きくなると中央から腫瘍が崩れて出血を伴うことがあり、見つけたらマージンを2−3mm程度とって完全切除します。

きちんと取り切れているかを「病理検査」で確認してから、欠損の埋め合わせ手術(再建術)を行います。病理検査では標本の端や深部を顕微鏡で観察し、癌細胞が顔を出していないかをチェックする作業です。もし断端が陽性(+)であれば、そのまま再建してしまうと再発の可能性が非常に高まります。追加切除が必要ということになります。

日本皮膚悪性腫瘍学会のページに参考になる写真がありますので以下にリンクを貼っておきます。(基底細胞癌)

http://www.skincancer.jp/citizens_skincancer01.html

昔の傷跡や火傷の痕が最近膨らんできて傷になってきた。(有棘細胞癌を疑う)

有棘細胞癌

体に小児期に火傷や大きな怪我をした痕があり、特に今まではなんともなかったが、最近になり傷跡の一部が膨らんでミミズ腫れのようになり、クレーターのように中央が傷になってきた。こういうエピソードを聞くと、形成外科的には有棘細胞癌を疑います。

先に挙げた基底細胞癌よりも、ホクロっぽくはなく、表面がジュクジュクしているような、治りにくい傷のような状態で来院されることも多く、見た目は多様です。指先の爪の下から汁が出てきたことから有棘細胞癌が発見されたりすることもあります。

このデキモノも、やはり「血が出る」などのキーワードが伴う場合は要注意になります。血が出るデキモノは、やはり普通ではありません。とりあえず形成外科に相談するのがよいでしょう。

有棘細胞癌も皮膚悪性腫瘍学会のページにわかりやすい画像がありますのでリンクをしておきます。(有棘細胞癌)

http://www.skincancer.jp/citizens_skincancer02.html

皮膚にカサカサしたところができて、いつまでも治らない(日光角化症・ボーエン病)

ボーエン病

顔や足にカサカサしたところができて、皮膚炎かなとおもって軟膏を塗布していたがいつまでたっても治らず、少し範囲がひろがっている。こういった症状のときには日光角化症・ボーエン病のような上皮内癌を疑います。表層の浅いところのみにとどまる皮膚癌であり、見た目はカサカサしているだけのような状態でそんな悪性のものとは思えないかもしれません。しかし放っておくと徐々に増殖して深くなり、大きく切除する必要が出てくる可能性があります。

皮膚悪性腫瘍学会のボーエン病のページへのリンクを貼っておきます

http://www.skincancer.jp/citizens_skincancer03.html

皮膚がんは完治できることが多い

皮膚がんは体表に見えている場所に発生する癌なので、早期に気がつくことが多く、また転移することも内蔵癌に比べて比較的少ないため、完治できることが多いです。当然皮膚がんのなかにも、たちの悪いもの(悪性黒色腫)も含まれており、すべてが完治できるわけではありません。

気がついたら早めに「形成外科」もしくは「皮膚科」に受診して相談しましょう。