褥瘡の持続陰圧療法はレナシスがいい

褥瘡の持続陰圧療法はレナシスがいい

褥瘡のデブリードマン後に持続陰圧療法を使用して肉芽形成を促進させるのは、ごく一般的な治療となってきました。当院でも、大抵はデブリードマンから持続陰圧療法を経て、皮弁や植皮術による閉鎖へ繋げていくことがほとんどです。

陰圧療法の機械としてはKCI社の「VACシステム」と、Smith & Nephewの「RENASYS」のどちらかを使用していることがほとんどだと思います。

当院ではほぼ前例RENASYS TOUCHを用いています。VACもRENASYSもどちらも同じように陰圧療法を行えますが、褥瘡に特化して検討した場合、個人的にはRENASYSの方がソフトポートの性能の差で上回っていると感じています。

ソフトポートで下敷きになってもMDRPUが出来ない

RENASYSのソフトポートは内部がスポンジ状なので、体の下に挟まりこんでもMDRPU(医療機器関連圧迫創傷)が発生しにくいという利点があります。VACのチューブだと硬いので注意が必要です。仙骨や坐骨・大転子、踵など、荷重がかかり体の下に発生する褥瘡の特性上、柔らかい素材で出来ているソフトポートは非常に安全です。

ソフトポート内の圧測定

レナシスのソフトポートは内腔が2層に分かれており、オレンジ色の接続パーツの近くに吸気穴が付いており、内部を空気が対流することで褥瘡フォーム内の浸出液をキャニスター側に吸い上げる構造になっています。ソフトポート内が液詰まりしにくく、陰圧が一定に保たれるため、仙骨などのお尻の下敷きになる部位などでも、ブリッジングを作らずにそのままフォームにソフトポートを接続させることができます。

VACの場合は、ブリッジングのフォームを作る必要がある上、ブリッジング内で液詰まりを起こすと、本当に陰圧を効かせたいところの圧が陰圧にならず、浸出液を貯めこんでしまいます。時に感染を起こすこともありました。RENASYSでも感染には注意が必要ですが、陰圧がしっかり効くという点についてはVACよりもRENASYSに「ソフトポート」の差で勝っているように思います。

VAC側にしかない長所もあります。VAC.ULTAでは創部の洗浄液による浸漬が可能です。自院でも使ってみましたが、手間が煩雑な割に、漏れるリスクや持ち出しコストが増える点、それほど改善効果に大きな差はないと判断し、今のところRENASYSでいいかなと思って導入していません。

VAC.ULTAは発売初期に導入していましたが、メーカーの説明通り使用して算定していたら、ごっそりレセプトで減算されてしまったため、それ以後は使わなくなってしまいました。各県ごとに算定の基準がバラバラなので、その点は厚生局の方でしっかり基準を公表してほしいと心底思っています。

陰圧療法で治癒力を見極める

持続陰圧療法の最大の利点は、「その潰瘍に皮弁や植皮を行なった場合、うまく生着するのか」をある程度予測できる点だと思います。陰圧療法を3日ごとくらいで2−3週ほど行うと、治癒力のある創部であれば潰瘍底面に赤色の肉芽がもりもりと増生してきます。フォームがしっかり食いつくくらいの肉芽組織であれば、植皮も皮弁も比較的安定して生着が望めますが、フォーム内に肉芽が入ってくることもなく、肉芽が元気ない状態であれば、皮弁・植皮の生着は難しい可能性が高くなります。

「治癒力が低い」と判断した場合は無理に手術療法には進みません。

無理せず表層のデブリを繰り返しながら、4週間というNPWTの期限目一杯まで使用して、その後壁吸引陰圧療法に切り替えて継続し、いいタイミングが来たら適切な方法で閉鎖を試みます。

褥瘡は下手に皮弁形成で閉じようとすると、大きいしっぺ返しをくらいますので、陰圧療法で治癒力を確認する作業は非常に重要と考えています。陰圧療法でまったく反応がない、もしくは陰圧療法の圧で褥瘡が悪化するような症例では、そもそも手術適応もありません。褥瘡と長期に共存しながら治癒のタイミングを伺うという長期戦も一つの戦略となります。そういう患者さんも少なからずおられます。たいてい誤嚥性肺炎や尿路感染、経口摂取不良などの問題の対応に追われていることが多く、「形成内科」的な仕事だと感じています。

褥瘡・難治性潰瘍のトータルケアが上手く出来るように色々と思慮をめぐらせている毎日です。

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