FPと簿記で社会適応力をUP
一般論ですが、医師は医学的な知識には非常に長けているのですが、社会保険や税金、診療報酬などのお金の問題などの勉強はあまりする機会がないため、一般社会人として「知っておくべき知識」に弱い傾向があります。
そういう自分もまさにその一人で、自分の給与にどれくらい税金がかかっているのか、社会保険にはどういうものがあるのか、資産運用のメリット、はたまた仕事をする上での診療報酬やそれに対するランニングコストの意識、医療機器導入のコストや人件費、減価償却など、切っても切れない「お金」にまつわる知識が乏しく感じていました。
2021年に入り、年度内の目標としてFP(ファイナンシャルプランナー)3級、簿記3級を取得して、最低限の知識を身に着けようと思い、4月ごろから勉強をはじめました。
どちらも3級だから余裕でしょ・・・なんて思っていましたが、結構これが大変で。
2021年に2つとも取得すると決めていたので、初志貫徹するため直前は結構必死に知識を詰め込んでいました。日常業務もありましたが、早朝や帰宅後、休日を利用するとだいたいどちらも2ヶ月あれば、ゆっくり合格までたどり着けます。
ネットでは「1週間で合格する方法!」とか、聞こえの良いフレーズが出てきたりしますが、正直個人的には無理だと思います。多分1週間、仕事もなくそれだけに費やせればいけるかもしれませんが・・・。
興味ある方は、勉強方法や期間なども参考にして、是非チャレンジしてみてください。
FPで学べること
FP3級で勉強する内容は以下の通りです。(日本FP協会ホームページより)
A ライフプランニングと資金計画 1.ファイナンシャル・プランニングと倫理 2.ファイナンシャル・プランニングと関連法規 3.ライフプランニングの考え方・手法 4.社会保険 5.公的年金 6.企業年金・個人年金等 7.年金と税金 8.ライフプラン策定上の資金計画 9.ローンとカード 10.ライフプランニングと資金計画の最新の動向 | B リスク管理 1.リスクマネジメント 2.保険制度全般 3.生命保険 4.損害保険 5.第三分野の保険 6.リスク管理と保険 7.リスク管理の最新の動向 |
C 金融資産運用 1.マーケット環境の理解 2.預貯金・金融類似商品等 3.投資信託 4.債券投資 5.株式投資 6.外貨建商品 7.保険商品 8.金融派生商品 9.ポートフォリオ運用 10.金融商品と税金 11.セーフティネット 12.関連法規 13.金融資産運用の最新の動向 | D タックスプランニング 1.わが国の税制 2.所得税の仕組み 3.各種所得の内容 4.損益通算 5.所得控除 6.税額控除 7.所得税の申告と納付 8.個人住民税 9.個人事業税 10.タックスプランニングの最新の動向 |
E 不動産 1.不動産の見方 2.不動産の取引 3.不動産に関する法令上の規制 4.不動産の取得・保有に係る税金 5.不動産の譲渡に係る税金 6.不動産の賃貸 7.不動産の有効活用 8.不動産の証券化 9.不動産の最新の動向 | F 相続・事業承継 1.贈与と法律 2.贈与と税金 3.相続と法律 4.相続と税金 5.相続財産の評価(不動産以外) 6.相続財産の評価(不動産) 7.不動産の相続対策 8.相続と保険の活用 9.相続・事業承継の最新の動向 |
(学科試験の試験範囲について、下記の項目を審査)
実技試験 |
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III 資産設計提案業務 1.関連業法との関係及び職業上の倫理を踏まえたファイナンシャル・プランニング 2.ファイナンシャル・プランニングのプロセス 3.顧客のファイナンス状況の分析と評価 |
難しそうな内容ばかりですが、受験者が多いためか本屋にいけば各種テキストが充実しています。だいたいテキストと問題集がセットになっているので、立ち読みレベルでパラパラと内容をみて、自分にあった出版社のテキストと問題集を1冊ずつ購入しましょう。
(簿記もそうなのですが)FP3級については色々手を広げずに、1セットのテキスト・問題集をしっかり内容吟味して、あとはスマホアプリやネット上に過去問がたくさん無料で配布されているので、そちらをひたすら解いていくと合格レベルに達します。
業務量にもよりますが、朝に30分、帰宅後に週2−3日1時間、土日に1−2時間程度を確保出来る人であれば1ヶ月〜2ヶ月ほどの期間勉強すれば合格レベルに達すると思います。
だいたい年に3回試験があります。奈良県は新しくできた「奈良県コンベンションセンター」で試験がありました。(2021年5月23日に受験してきました)
FP3級受験で得られたこと:社会保険や税金の最低限の知識が身につきました。投資の知識も得られたので完全に寝かせていた貯金を資産運用に回せるようになりました。無知のため加入していた無駄な保険などたくさん解約し、自分のライフプランにあったキャッシュ・マネジメントが自分で出来るようになりました。相続の知識も得られたことは「親族の揉め事」を回避できる一つの手段だなと思います。直近3回の合格率は以下のとおり。私がうけた5月はここ3回では厳しい方だったみたいです。
試験日(日本FP協会) FP3級合格率 | 学科 | 実技 |
2021年5月 | 83.25% | 76.65% |
2021年1月 | 87.92% | 86.53% |
2020年9月 | 89.64% | 88.04% |
簿記で学べること
簿記の内容は、大まかにテーマわけすると以下のとおりです。(テキストの目次にあたるところです)
1.簿記の目的
2.取引・仕訳・勘定・試算表
3.商品売買の記帳方法
4.現金及び預金・手形の記帳方法
5.その他の勘定の記帳方法
6.主要簿および補助簿
7.伝票
8.決算
9.その他の決算整理
10.損益計算書および貸借対照表の作成
会社や企業の会計業務にあたる部分であり、仕訳を的確に出来る技能が身につきます。先にも書きましたが、日本では医療業界では「お金の話」は包み隠されて進んでいくことも多く、5−6年目くらいの経験値の先生では患者さんが実際いくら支払いしているのか、まったくわからないという先生もいると思います。
外来受診や手術・入院の後には、必ず会計が待っているわけで、医師も業務ごとの請求額や、資源・コストなどについて少しは意識をむけることが必要だとおもいます。
私が使用したテキストは「TAC出版」の「みんなが欲しかった!シリーズ」簿記の教科書と問題集、及び「まるっと完全予想問題集」です。
テキストをさらっと一通り読んで、問題集をしっかり端から端まで解答しました。その後ひたすら予想問題集をやっていく感じで、最終的にはネットで2−3回分くらい無料予想問題集を見つけてそれらを1時間で解答する練習をしていました。
第158回から試験形式が変更になり、1時間3問となっています。(それまでは2時間5問でした)
試験回 | 受験者数 | 実受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
158(2021.6.13) | 58,070名 | 49,313名 | 14,252名 | 28.9% |
157(2021.2.28) | 70,748名 | 59,747名 | 40,129名 | 67.2% |
156(2020.11.15) | 77,064名 | 64,655名 | 30,654名 | 47.4% |
私が受験した159回は新試験になってから2回目でした。158回が難しかったので、予想では簡単だろうとおもっていたのですが、結果は逆で合格率は全国的にも20%前半が多かったようです(奈良県生駒市は19%でした)
FPより簿記のほうが数字の計算が多く、個人的に理系なので馴染みやすかったです。精算表などはたくさんの桁数の数字の計算が電卓でテキパキこなしていかないと間に合いません。とりあえず合格したのでよかったです。
簿記のほうがFPよりも勉強時間は多かったと思います。自分としては2ヶ月くらいは、ちょろちょろと仕事の合間をぬって勉強していたように思います。途中で嫌になりそうでしたが、それまでの時間が無駄になるのも嫌だったので、最後は結構必死になって過去問をしていたように思います。
ご興味ある方は、是非本屋さんの資格コーナーで参考書を立ち読みしてみましょう!自己満足かもしれませんが、ずっと同じ仕事しているより息抜きにはなります。