眼瞼下垂は治しておいたほうがいい理由
眼瞼下垂は命には影響しない病態ですが、治療して改善しておくと、様々な「良いこと」があります。
最初に結論から言います。たくさんのメリットがあり、デメリット回避にもなります。3点に絞ると次の通りです。
- 目元が楽になり、ストレスが減る
- 視野が開けて転倒や頭を打つ、信号、飛び出しを見落とすなどの危険が減る
- 目つきがよくなり、印象が改善する
いいことばかりではありません。眼瞼下垂の治療でのデメリットも知っておきましょう
- 手術での治療になる。(痛い)
- 術後数ヶ月は目元の腫れが続く
- 術前と印象が変わる
両者を知った上で治療に望まれると、術後に後悔することなく、満足した結果が得られると思います。
デメリット回避
診療していると、別の疾患で来院された患者さんに眼瞼下垂を「治しておいたほうがいいですよ」と声掛けすることがあります。職業柄きになってしまうという点もありますが、やはり「その目で生活は色々支障がでるでしょう?」ということを想像しての指摘です。
眼瞼下垂を希望されて来院される患者さんの「困っていること」で、手術したほうがいいなと思う第1位は
「車に乗っていると信号が見えないんです・・・」という告白です。当然全く見えないのではないのですが、下垂の影響で上の視野が狭く、首を少し上げないと見えないという意味だと思います。全員が言うわけではないですが、正直な一部の患者さんはこれを言われます。なんどか信号無視で捕まったので来たという人もいました。事故に繋がりますので、是非治療を受けてほしいと思います。
「眼科の検査で、自分では目を開けているのに『はい、目をしっかり開けてください』と言われるのが屈辱」という訴えも、かなりよく聞きます。最終的には検査の方が瞼をぐいっと上に引き上げて検査されることもあるようです。なにげない検査での一幕ですが、眼瞼下垂を意識していなかった患者さんにとってはショッキングな出来事のようで、これをきっかけに手術を受けに来られたとよく言われます。
「戸棚で頭をぶつけたり、転倒することが増えた」眼瞼下垂で上の視野が狭い状況で頭をぶつけやすくなるのは容易に想像ができます。ただ眼瞼下垂は「皮膚弛緩」が強くなると左右の視野も妨げられ、全体的に視野が狭くなり転倒が増えます。これは80歳以上の高齢の方に多いですが、転倒からの2次被害(骨折や打撲血腫など)も回避したいので、治療がおすすめです。
メリット享受
眼瞼下垂の治療は主に「現状被っている嫌な症状の改善」が目的なのですが、付随的に得ることのできるメリットもあります。
「頭痛・肩こりが治った」眼瞼下垂の手術と関係なさそうですが、目元が下がっている状態を常に日常生活でがんばって開けようとしていると、前頭筋を使いすぎて前頭部の頭痛につながることがあります。おでこを使わずに狭い視野でものを見ようとすると首が疲れます。例えばテレビを見ているときに顎が上がり、頭を後傾させると目の下半分の視野が使えるのでものが見やすくなります。癖で顎先が上がった見方をしていると首から肩にかけての動き・こわばりが強くなり、肩こりに繋がります。術後に「頭痛が治った」「肩こりが治った」という感想はよく聞きます。
「見た目に若々しく見える」目元が下がっていると、老けて見えます。疲れたようにも見えます。ためしにスマホの自撮りで目元の力を完全に抜いて、眼瞼下垂の顔つきを作ってみてください。おそらく10歳は老けてみえるのではないでしょうか。眼瞼下垂の挙筋前転術では、術後結果的に二重になります。なりたくなくても、なってしまいます。それは違和感がでるかもしれませんが、決して悪い印象ではなく、若々しく健康的な見た目に繋がります。ただ、見た目を改善したいという目的だけでは保険治療はできません。(自費治療になります)
「目の前が明るくなった」目がよく開くと光が目の中にしっかり取り込まれ、明るくはっきり見えるようになります。けっして視力が良くなるわけではありませんが、外からの光がよく入ることで、それまでよりも視野の明るさを感じられるようになります。時々、術後すぐには「眩しい」と感じられる場合もありますが、ほとんどの方はすぐに慣れてきます。
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