分厚くなって濁った爪、どうしたら治る?

<2020年6月30日 初回投稿、2020年10月20日 リライト>

分厚くなって濁った爪、どうしたら治る?

足の爪が変色して分厚くなったまま治らないことがあります。爪の水虫が原因だったり、爪床と呼ばれる爪の底で指と爪を繋いでいるような組織の欠損であったりします。一度変色・肥厚してしまうと放っておいても治りません。見た目も気になるし、引っかかって痛みが出ることもあります。高齢者の場合は爪のトラブルから足指を切断するに至るまで酷くなることも珍しくありません。

爪が分厚くなって変形してきたら、「フットケア」のを受けましょう。

とにかく削る

分厚くなった爪は「とにかく削って薄くする」のが一番です。分厚いままで薬を塗ったり、内服したりしても効果がよくありません。削って薄皮一枚の爪に仕上げてあげることで、病態が少し見えてきます。

大抵の場合、先にもあげたように「爪の水虫」か、「爪床」の欠損です。

両方の場合もあります。

怪我をしたあと、足をぶつけた後、重いものを足先に落として、爪の内出血をしたあとに変形・変色した・・・と言われる方も、結局は色んな理由の結果、爪床欠損になっている場合が多いです。爪の一番底が浮いているため、後から生えてくる爪がうまくレールに乗らずに肥厚しながら前に、上に浮き上がって生えてくるような状況です。

実際の爪を削っている動画を見てもらいましょう。3年前の動画ですがこれしかありませんでした。(無駄に)音楽が流れますので、再生時は音量にご注意ください。

爪を削る様子

爪水虫を疑い、顕微鏡で調べる

爪の水虫は「顕微鏡検査」ではっきりします。爪を削る際にでる、爪の粉をプレパラートに取り、「KOH:水酸化カリウム」液を垂らして顕微鏡で観察します。

白癬菌がいれば、「陽性」であり、外用薬タイプの治療薬を処方しますので、爪に1日1回塗布してもらいます。入浴後などのタイミングがよいでしょう。

水虫菌がいれば、薬で治療する

水虫菌は家族に感染します。日本人の5人に1人は足指の水虫を、10人に1人は爪の水虫にかかっていると言われています。裸足で利用する公共施設などで感染しているようです。たとえば温泉施設やサウナ、スポーツジムなど。

家庭内感染もあり、足・爪水虫の患者さんの約35%は同居家族に真菌症の人がいると言われています。

病院に爪の変形や肥厚の相談に来る方は、検査してみるとほとんどの場合陽性になります。仮に陰性であっても、たまたま顕微鏡で菌が発見できていないだけで、保有していると考えています。

最近は外用薬が進歩しており、爪に塗るだけで水虫の発生を抑えることができるようになりました。内服治療もありますが、肝臓に影響することがあるため、まずは外用薬で治療することがほとんどです。

足の指の間までしっかり洗い、清潔に管理する

爪を綺麗に削り、薬も塗って、あとは爪が伸びるのを待つだけです。爪が生え変わって根っこのあたりから先まで完全に伸びてくるには1年から1年半もかかります。ゆっくり根本のほうから綺麗な爪が出てくれば除菌は成功です。

しかし、もともとの感染した原因や、足指の環境にも気を配らなければ、再び爪水虫は発生して増加してきます。当然新しい爪が再び変形して再発します。

予防のために行うことは、入浴時にとにかく足指の周囲を石鹸やボディソープでしっかりきれいに洗うことです。しっかり指まで丁寧に洗いましょう。仕上げに水虫の外用薬(爪・皮膚)を使用します。

「爪水虫」というネーミングセンスの無さ

それにしても、「爪水虫」って印象悪いですよね。おじさんの病気のイメージがあるし、足が臭そうなイメージ、「虫」と付くことからなんだか気持ち悪いものを想像してしまいます。最初に命名した方ってネーミングセンス無さすぎです。

日本人の5人に1人が水虫なんです。2000万人近くがこの気持ち悪いネーミングの患者なんです。

ネーミングや印象の悪さで、病院に相談に来るのを憚り、自分でなんとか治そうとして市販薬で中途半端な治療になり、増悪してから来院する患者さんもいます。若い女性など、その傾向が多い印象です。なんとなく病院で汚い足を見せるのも恥ずかしいものなんでしょう。

海外では水虫のことを「athlete’s foot :アスリート・フット」と呼びます。若干俗語ですが、そもそも水虫も俗語です。正式には「爪白癬」です。正式病名もダサいですよね。「癬」というあたりが、なんか虫っぽい印象をただよわせています。ちなみに英語の正式名は「tinea pedis」です。

「athlete’s foot :アスリート・フット」って、なんかかっこいいですよね。運動して汗をかいて蒸れたんでしょう。でもアスリートとしてがんばっている結果というか。日本に比べてネーミングセンス抜群だと思います。これなら若い方も積極的に受診できますね。「アスリートとしてのパフォーマンスを高めるためにも、アスリート・フットを治しましょう!」って言いやすいです。

アスリート・フットかなと思ったら、気軽にフットケア外来のある形成外科を受診してみましょう。

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