2015年11月より現在の病院に赴任し、4年以上経過しました。立ち上げから今日に至るまで紆余曲折、様々な出来事がありました。患者さんが来院してくれないと形成外科は仕事がありませんので、とにかく「いかに患者さんに来ていただくか」を考えながら、様々な方法を試み、運営してきました。いかに患者さんに存在を知っていただくかは広報活動にかかっています。
当院で行った広報活動についてまとめてみたいと思います。
地域の広報誌への情報掲載
まず順番的には広報誌への掲載が最初だったように思います。幸い「市立」病院であるので、市の広報誌に「市立病院で形成外科の診療が始まります」といった記事を掲載していただきました。
生駒市の広報誌は非常に評価の高い広報誌で、生駒地域全域に配布されます。掲載後は記事を切り抜いて持参する人などもおられました。
近隣医療機関への訪問・挨拶まわり
広報誌とほぼ同時進行で、近隣医療機関への訪問挨拶を行いました。急性期病院の皮膚科・形成外科はほぼ全てアポをとりご挨拶に回りました。クリニックも皮膚科・形成外科を標榜されている先生方には直接お会いしてご挨拶させていただきました。
おかげさまで、近隣施設からの紹介受診も徐々に増えてきました。紹介で来院される方は大半が「手術希望」の方が多く、手術件数に直結します。連携は非常に大切なので、突然の紹介患者さんもとにかく断らないように全て対応しています。いまでは定期的に紹介をしていただけるようになりました。
ホームページの充実
形成外科の難点は「診療内容が一般の方々に知られていない」というところでしょう。形成外科ってどんな科?と聞いても、「美容?」とか「整形?」とかそういう返事が返ってくるときもあり、診療科としてもっと認知度を上げていく必要性を感じました。
少なくとも当院の形成外科に興味を持ってくれた方々に、診療内容をお伝えするにはホームページの活用が効果的だと考え、開設から少しずつ病院のホームページに形成外科コンテンツを増やしていきました。
https://ikoma.tokushukai.or.jp/section/plastic/
いまではホームページを見て受診される患者さんが、新規受診患者の半数以上を占めているような状況です。病院受診する前にスマホで検索して、下調べしてから受診するのが現在の「病院受診の流れ」なので、ホームページの整備は非常に重要です。
公開医療講演
定期的な公開医療講演も行いました。集中的に4ヶ月ほど連続で毎月講演をしたこともあります。平均すると年間6回−7回は医療講演を行っていたと思います。医療講演は、開催前に広報誌で周知するため、内容タイトルが大切です。タイトルを見て、治療に興味がある方々が中心に集まります。
学会発表とは違い、市民公開講演は「解りやすさ」や「聞きやすさ」が大切です。内容についてなるべく難しい単語は避けて、画像をたくさん用いて見ているだけでも理解できるような内容にして、途中で必ず「余談」を挟み、興味が続きやすい医療講演を心がけていました。
医療講演を行うと、だいたいその後5−6人ほどの方が実際に外来受診に訪れます。眼瞼下垂で悩んでいた人、静脈瘤で悩んでいた人など、当院で行っている手術治療について医療講演で知識を入れてから受診されるので、ほとんどの方がスムーズに治療を受ける流れにつながっていきます。
院内サイネージ・ポスター・疾患資料配布
最後に、地味に効いてくるのが院内サイネージやポスター、院内で配布する疾患別資料です。
当院では専門外来として「まぶた外来」「下肢静脈瘤外来」「レーザー外来」「アンチエイジング(美容)外来」を設けています。
会計・薬待ちの総合待合の前のサイネージで情報を発信しており、他科受診された患者さんが、会計待ちの時間にそれを目にして受診されるという流れも増えてきました。
広報活動は患者さんに「形成外科」を知ってもらう上で非常に重要です。自分たちの仕事を安定して増やすためにも、継続的な広報活動は必須と考えます。