ゼオスキンのセラピューティックを上手に使う方法

ゼオスキンのセラピューティックを上手に使う方法

セラピューティックを上手に使う方法、一言で説明すると「レチノイド反応のセルフ・コントロール」でしょう。

ゼオスキンヘルスのセラピューティック・コースは、トレチノイン・ハイドロキノンの相乗作用により劇的な改善が得られる外用療法です。効果が非常に高い反面、使い方によっては「赤み」「皮剥け」「ヒリヒリ感」(トレチノインによるレチノイド反応)など、嫌なダウンタイムを生じる場合があり、上手くコントロールしながら使用していかなければ非常に苦痛を伴います。

SNSなどではまるで美肌修行のように「皮剥け」「赤み」を楽しんでいるような投稿が多くみられます。慣れた方であれば、投稿しながらもうまく「調整」をしているのでしょうが、それを参考にしてあまり処方医からの説明もなく独自メニューで使ってしまうと、思わぬしっぺ返しを生じる可能性もあります。ゼオスキン のセラピューティックを合併症なく「上手に」使う方法を解説します。

皮剥け・赤み(レチノイド反応)はなるべく避けたい

どうしても避けれない場合もありますが、「気にせずガンガン使用して出たレチノイド反応」と、「対策して止むを得ず出てしまったレチノイド反応」とでは、意味合いが違います。

まずもって使い始めの1−2週間は夜のトレチノインの量を少し少なめにします。

当院ではミラミックス:CDトレチノイン(0.1%)=1 : 0.5 程度からスタートすることを推奨しています。

CDトレチノインは「シクロデキストリン」という成分でトレチノインを包接しています。通常のトレチノインと同等の効果を維持しますが、副作用は非常に少なく、ゼオスキン との相性も大変良い製剤です。

そもそも反応性が抑えられたCDトレチノインを、さらに1:0.5の濃度に薄くして使用します。

目元・首元は最初の1−2週間は塗布しないようにしてもらいます。赤み・皮剥けがでると非常に不快感が残る部位だからです。

最初の1週間は特に注意します。だいたいトレチノインは3−4日使用してから少しずつ反応が出始めます。ほうれい線や口元から皮剥けが始まることが多く、最初の皮剥けが生じたら、2−3日CDトレチノイン+ミラミックスは休憩して、レチノイド反応が引くことを確認します。それから再び3−4日使用して、徐々に反応に慣らしていきます。3−4日の使用で反応しない方は1−2週間連続使用します。

この1−2週間でトレチノインに対する各自の反応性をセルフ・コントロールできるようになってもらいます。その後は、反応が弱いと感じる人はミラミックス:CDトレチノイン=1:1にUPして、反応がでるまで連日使います。反応が出たら同じく2−3日反応が引くまで休憩します。

中には全く反応しない人もいます。その場合でもあまりトレチノインの量は上げずに1:1を維持します。理由は「自分自身で気が付いていないが反応している」場合があるからです。反応がないと焦ってトレチノイン量を上げると、一気に赤み・皮剥けが激しく生じる場合があります。それを避けるためにも、あまり濃度は上げないで、継続使用します。

赤み・皮剥けは表層のシミが除去される代わりに「肌の炎症性色素沈着」を誘引します。トレチノインによる強い反応が出れば、それに応じた色素沈着も洩れなく付いてきます。荒っぽい使用方法をしていると、シミはとれたが顔全体が赤黒い状態になり、それをレチノイド反応だと思って投稿している方もいます。それは本来のレチノイド反応ではなく、上手く使用していれば避けられた「色素沈着」の時期の場合もありますので、トレチノインは焦らず慎重に使っていきましょう。

日焼けはなるべく避けたい

セラピューティック中はとにかく紫外線に弱くなります。普段ならなんて事のない照り返しの日差しですら、赤みにつながることがあります。当然サンスクリーンプラスプライマーをしっかり使用して日差し・ブルーライト・近赤外線からセラピューティック中の肌を守ってください。それとともに、日常の行動や日差しよけ(日傘や手袋)もしっかり使うようにしましょう。

できれば日差しの強い7月−10月はセラピューティックを避けたいところです。ただし、きちんと理解して遮光を心がけて生活できるなら、その時期でもセラピューティックを行うことは出来ます。

セラピューティックを開始してから安定期に入るまでの2ヶ月程度の間は、特に細やかなケアを行い、ちょっとした日差しに対しても敏感になるようにしましょう。

満足度を上げるには同じ条件での写真(セルフ撮影)を

トレチノインは低濃度から少しずつ、日焼けにも慎重に使用して、上手に使っていると「レチノイド反応」がはっきり出ずに経過していく場合があります。それでも肌の改善はしっかり得られていることが多いのですが、SNSなどの「激しい反応」している方々を参考にしてしまっている人は「物足りない」と感じてしまうかもしれません。せっかくのセラピューティック・コースを使用していても満足度が低くなります。そういう場合は写真を見比べて、どこが改善したかを探してみましょう。

当院ではセラピューティックを開始する人には必ず開始前の写真を一眼レフで撮影しています。なるべく化粧を落として撮影します。そして2週間目、1ヶ月目、2ヶ月目、3ヶ月目と追って確認できるように、来院時に撮影できるようにしています。

当院の場合セラピューティックを行う人には必ずイオン導入を勧めています。以前の記事でも合併症対策として紹介しています。

使用開始から2週間目くらいがもっとも「リスクの高い」頃なので、その頃に超音波イオン導入を勧めています。来院された時に以前と同じ条件で写真撮影を行います。1ヶ月後、2ヶ月後の受診時にもなるべく撮影しています。

光や撮影機材、角度など同じ条件で撮影しておくと、「セラピューティック以前との比較」が可能で、自分でも気がつかないうちに改善していることがわかります。

そんなことしなくても3ヶ月ほど経過すると、明らかに肌の質感やシミ改善、トーンが明るくなる、毛穴が目立たなくなる、小じわが減るなど様々な改善が得られるようになり、家族や友達から「あれ?なんか変わった?」と言われるようになります。自分自身は毎日鏡を見ているため、変化に気が付きにくいのです。なので期間をあけながら同条件で撮影した写真を見比べると、客観的に評価ができるため自分でどこが良くなっているか確認することができ、満足度が上がります。

本人の満足度を上げることは「効いていないと勘違いして、焦ってトレチノインをたくさん使う」という暴挙に走らせないためにも重要です。

頑張りすぎてボロボロになりながら、耐えるセラピューティックを実践するよりも、安全に確実に、改善を確認しながらセラピューティックを楽しみましょう。

広告