浅い褥瘡におすすめの混合軟膏(リフラップ +テラジアパスタ)
浅い褥瘡や肛門周囲の褥瘡・びらんなどに非常におすすめなのが「リフラップ +テラジアパスタ」の混合軟膏です。混合軟膏は水分含有率・水分吸収率を調整できるメリットがあります。
たとえば水分含有率の高い軟膏の代表はゲーベンクリーム(水分含有率 60%)、オルセノン軟膏(水分含有率 70%)などがあります。乾燥しがちな創部や壊死した組織の融解に適しています。
一方で、浸出液過多な創部に対しては水分吸収率の高い軟膏をセレクトします。代表的なものにユーパスタ軟膏(水分吸収率 76%)、カデックス軟膏(水分吸収率 370%)が挙げられます。いずれもよくお世話になる軟膏たちですので、愛着があります。
浅い2度の褥瘡などは、表層上皮の欠損で真皮が保たれているような状態なので、被覆材による保護で創部の適度な湿潤環境を整えれば早急に治癒が得られます。エスアイエイドや、ジェントルエイドなどが当院で良く使用する被覆材です。
ただし、これらが使いにくい部位があります。それが、「仙骨のズレ褥瘡」と「排泄ケア不良による肛門周囲のびらん」です。
「仙骨部のズレ褥瘡」は、ズレ力により被覆材がめくれ上がり、うまく貼付を維持できず、創部が乾燥してしまうことがあります。
「肛門周囲のびらん」も、常に排泄汚染のリスクがあり被覆材は汚染を吸収してしまったり、剥がれてしまったりするリスクがあります。
これらの創部に、適度に水分保持しながら、過浸軟でもなく、乾燥ぎみでもない状態に保つために適しているのが「リフラップ ・テラジアパスタ混合軟膏」です。ブレンド比率はリフラップ 3:テラジアパスタ7の比率がおすすめです。(参考文献:ベッドサイドで使える褥瘡治療薬ナビ 古田 勝経)
水分含有量 6.9%
リフラップ 3:テラジアパスタ7の割合で混合した軟膏は「水分含有量 6.9%」と絶妙な湿潤環境を創部に提供してくれます。
具体的な使い方としては、木ベラで必要量を取って、創部にベタ塗りして、オムツをそのまま当てます。ガーゼなどは使用しません。踵や大転子などに用いる場合はガーゼ・テープ保護を行います。
お尻周りの傷には万能です。ガーゼ・テープを使用しないので、非常に処置が「楽」です。本人様の軟膏として処方しておけば、プラスチック手袋で直接取ってベタ塗りしてもいいでしょう。
排泄物から創部を保護してくれますし、それらを吸収することもありません。結構べたつきが強い軟膏なので、創部に密着してくれます。「創保護+創治癒」が同時に得られる感じです。
リフラップの代わりに吸水クリーム
残念ながらリフラップ軟膏は2020年2月に販売が終了してしまいました。当院ではその代わりとしてリフラップ と同じ乳剤性基材w/o型の「吸水クリーム」を用いています。
テラジアパスタの代わりにマクロゴール軟膏
またテラジアパスタも2019年3月で販売が終了してしまいました。こちらは基材がマクロゴールだったので、代替品として「マクロゴール軟膏」を使用してます。
吸水クリーム 3:マクロゴール 7の割合で混合して使用
質感や使用感、見た目、匂いなど、ほぼリフラップ ・テラジアパスタ混合軟膏と同等のものが出来上がります。効能についても、ほぼ変わりない結果が得られています。そもそも薬効を期待するというよりも、基材による水分保持力を期待していたので当然でしょう。
リフラップ やテラジアパスタの販売中止でお困りの医療関係者の方、吸水クリーム+マクロゴール 混合軟膏がおすすめです。