外反母趾を楽にしたい!インソール治療と靴の選定
<2020年6月12日初回投稿:2020年9月7日リライト>
外反母趾でお困りの高齢者は大変多くおられます。年齢とともに背中が曲がってきたり、膝が曲がってきたり、そういった老化現象の一つとして、足の骨格の歪みは高齢者に特有の疾患として広くみられます。
一度生じてしまった外反母趾はそう簡単には元に戻りません。特に年齢とともに生じてきたものについては、ある種老化現象ですので、うまく共存していくことをお勧めします。外反母趾の足の痛みを緩和させ、これ以上進行させない方法を解説します。
外反母趾のつらい症状
外反母趾とは名前のごとく、足の親指が付け根から「くの字」に曲がり、外反している状態をさします。見た目の変形がインパクト強く、親指のあたりを気にしてしまいます。当然親指の付け根あたりが痛くなることもありますが、実際には足の中央が痛くなったり、小指側が痛くなったり、踵や土踏まずのあたりに痛みを感じる方もおられます。
開張足について
外反母趾は母趾の関節変形に注目した病態の捉え方ですが、母趾だけが変形しているわけではありません。足の足根骨・中足骨の関節が色々ゆるみ、「開張足」を生じた結果、外反母趾がひどくなっている場合が、多くの患者さんに見られます。足のひらにあたるところの骨(中足骨)が扇を広げるように開張するような変形が生じた結果、母趾の基部がくの字に変形します。
開張足の診断はレントゲンで評価します。荷重をかけながら正面撮影でレントゲンをとり、上記のイラストのように第1中足骨と第5中足骨の軸が交わる角度をM1/M5角といい、これが30度を超える状態が開張足です。「横アーチの乱れ」とも表現します。
中足骨が開張するのは、年齢とともに骨間を支えている筋肉・靭帯が緩んでしまい、ハイヒールのような足関節に負担のかかる靴を長期に履いていると特に高度な変形を来すことになります。
扁平足について
開張足と同時に評価したほうがよいのが、扁平足です。荷重をかけた状態で、横からレントゲンを撮影します。上記のイラストのように足底の接地面の水平線と、踵骨の聳立した接線との交差する角度が20度以下になると扁平足です。15度以下になると胼胝を生じたり、母趾の浮き指から陥入爪を生じたり、足底腱膜炎を生じたり、なんとなく足が疲れやすかったり、いろいろとトラブルを生じます。「縦アーチの乱れ」とも表現します。
外反母趾にはインソール療法と靴の選定が重要
外反母趾の治療として手術療法も見受けられます。しかし母趾の外反を手術で強制するやり方だけでは全体の変形の修正やバランス改善は得られず、結局見た目の治療にしかならず、そもそもの悩みのタネであった足裏の痛みは改善されません。
外反母趾の病態・疼痛の原因をよく考えて、最も高齢者の外反母趾に適した治療としては「インソール療法」と「足にあった靴の選定」であると考えます。
我々は外反母趾の患者様の治療として
①荷重時のレントゲン撮影で開張足、扁平足、凹足の評価
②レントゲン、フットプリントでの評価からインソールの採型、作成
③足の縦サイズ、横幅サイズに応じた、適切な靴の選定
④自宅でのリハビリテーションの指導
を行っています。
インソールの作成は保険診療です。装具になりますので、一時全額負担になりますが、書類を市役所に提出することで自己負担額に応じた返金を受けることができます。
外反母趾でお悩みの方、外反母趾に色々治療したが症状が上手く取れないという方は一度フットケアに力を入れている形成外科にご相談ください。