ゼオスキンが肌に合わないときにどうするか

ゼオスキンが肌に合わないときにどうするか

ゼオスキンの外来診療も2016年から取り扱い初めて6年目になります。ゼオスキン・ユーザーの方々の「変化」は劇的であり、ほとんどの方に満足いただいているように実感します。とくにコロナ禍の今、マスクで隠せることや自粛・テレワークが広まり、日本全国に「ゼオスキン・ブーム」が巻き起こっているように感じます。年末には日本代理店からゼオスキンの在庫がなくなるほど「バカ売れ」したようです。当院でも多めに在庫を抱えるようにしているのですが、それでも一部商品で在庫不足でご迷惑をおかけしたようで、申し訳ありませんでした。

正直ゼオスキンのセラピューティック・プログラムとメンテナンス・プログラム、あと関連する商品を上手く理解して、診察や要望にあわせて紹介すれば、「ほぼ」このメーカーだけで満足度を得られるような提案ができると感じていました。

「ほぼ」という表現は、少しだけ補完すべき点があるからです。

①洗顔:メイク落としを別で準備する日本人にとって、クレンジング・洗顔が一体式のゼオシリーズでは物足りないと言われます。うちではセルニュープラスのクレンジングオイルジェルの提案や、男性でも使えるシンプルなセルニューソープを補完することで対応できていると思います。

②保湿:ゼオスキンの強力な改善の裏には「肌乾燥との戦い」が待っています。保湿のために準備されている「RCクリーム」では補いきれません。こちらもセルニュープラスのモイスチャーミルク、モイスチャーローションが良い脇役を担ってくれています。

③コントロール出来ていない「A反応」:これについてはゼオスキンの効能の弱点ともいえる点なのですが、トレチノイン、レチノールによる肌反応の結果、赤み・皮むけが過剰に生じてしまい、コントロールできなくなる方が一部おられます。予防のために、購入時にしっかり指導、購入後も「ブログでの使い方情報の提供」や、外来でのfollow up、エンビロンのイオン導入でクールダウンさせる方法など、色々対策を講じています。

特に問題となるのは「③コントロール出来ていないA反応」です。

ゼオスキン関連のブログやTwitterを続けていると、全員が満足しているわけではないことを気が付かされます。今回は良くある「ゼオスキンが肌に合わない」問題を、どう切り抜けるのか解説していきます。

セラピューティック・プログラムで赤み・皮むけがひどい

Image by Mohamed Chermiti from Pixabay 

セラピューティック・プログラムは「トレチノイン(ビタミンA)」によるターンオーバーの劇的改善・促進と、「ハイドロキノン(ミラミン・ミラミックス)」によるメラニン色素産生抑制がダブルで作用する「効果の強い治療」です。

だいたい使い始めから3−4日目で軽い反応が出ることが多く、ほうれい線や口周りから赤み、ヒリヒリ、薄皮がめくれるような反応が生じます。

当院では最初にこの反応が出たら、まずは何日目で反応が出たかを確認、それから「トレチノイン+ミラミックス」を休薬し、何日くらいで反応が治まっていくかを確認してもらっています。

反応が収まれば再びトレチノイン・ミラミックスを再開、例えば「3日使って4日休む」のような使用法を繰り返します。反応が強めに出る方は「2日使って5日休む」かもしれませんし、「4日使って2日休む」パターンの人もいるかも知れません。自分の使い方をしっかり見極めてもらうのが当院のやり方です。

Dr.オバジの推奨する使い方と少し違いますが、非常に安全性が高く、ダウンタイムの苦痛が少なくて済みます。

中には赤み・皮むけの反応がコントロールできなくなってしまい、悪循環に陥る人もいます。そういうときには一旦全ての製品の使用を休薬、セルニュープラスのサンプルをお渡しして2−3日「ゼオを抜く日」を設けて反応を見ます。みなさん不安になりますので、きっちりfollow upします。

それでも赤み・皮むけがコントロールできない方は「エンビロン」のイオン導入を行います。アルジネートパックだけのクールビタミン・コースを1−2週ごとに集中的に行うと、赤み・皮むけで荒れた肌も急速にもとに戻っていきます。

そもそもセラピューティック・プログラムは「赤み・皮むけが出る」という前提・認識で使用するので、上記のような「保守的」な使い方をしていれば、大半の方はダウンタイムをうまくコントロールして結果を出せているように思います。

メンテナンス・プログラムでニキビが多発する

Image by Sharon McCutcheon from Pixabay 

最近よく聞くのが「バランサートナーとデイリーPDだけ使っているのですが、使用前に比べてニキビが増えた」という相談です。

メンテナンス・プログラムから開始した方で、高濃度レチノールまで組み込んで使っている場合はそれほどニキビ多発の発生は聞かれません。予算の都合でバランサートナー+デイリーPDだけでスタートした方に多く見られる傾向があります。

原因の考察として以下の3点が考えられます。

まず1点目、デイリーPDの弱レチノールによるターンオーバー促進により、肌の細胞の厚みがふっくら分厚くなり、毛穴・皮脂腺の出口が少し詰まりやすくなることが考えられます。トレチノインでは強い皮脂分泌抑制作用も相まってターンオーバー促進が得られますが、弱レチノールでは皮脂分泌抑制があまりかからずに、表層の細胞のターンオーバーが促進し、分泌腺が詰まりやすくなるという現象です。

次に2点目、本来ならミラミンやブライタライブと併用すべきところをデイリーPDだけで使用していることで、保湿成分やアスコルビン酸など皮脂排出に良い影響をもたらすものが入らないことになり、通常のメンテナンス・プログラム使用よりもニキビができやすいという現象につながっている可能性があります。

3点目、通常メンテナンスであれば、週1−2回の高濃度レチノールが組み込まれており、強いターンオーバー改善効果が生まれることになり、毛穴・皮脂腺の表面の細胞の入れ替わりも急激に進むことにより、皮脂が抜けにくくなるのではないかと考えます。デイリーPDが悪いわけでは無いのですが、日々の維持のための弱レチノール製品であり、人によっては皮脂が詰まりやすくなりニキビがでやすくなってしまうのではないでしょうか。

あくまで効能から考えた考察であり、実験的根拠はありません。基礎医学のレベルで調べていただければありがたいです。

臨床のレベルで、たくさんのゼオスキン・ユーザーを見ているかぎりではデイリーPDでニキビが出やすくなってしまう方は少数です。率は低くても、自分がその当事者になってしまうと「ゼオスキン」への信頼は崩れてしまいます。処方する立場として、なんとかそういう方にも使っていただけるように色んな提案をさせていただいてます。

セラピューティック中は良かったのに、メンテナンスに変えてからシミが復活した

Image by Natálie Šteyerová from Pixabay 

これは比較的「よくある」相談です。

セラピューティックをやっている3ヶ月は、肌が「ドーピング」されたような状態になります。本来の自分の肌よりも、1ランクも2ランクも細胞が研ぎ澄まされた状態になっているようなイメージでしょう。

セラピューティックを終えて、メンテナンス・プログラムに移行すると、トレチノインの「ドーピング」は無くなります。

メンテナンス・プログラムでは、強力なトレチノイン・ハイドロキノン療法にかわり、毎日使える弱レチノールのデイリーPDと、美白・保湿をキープするための「ブライタライブ」、劣化を防ぐために細胞を必死でターンオーバー維持させるための「高濃度レチノールシリーズ(スキンブライセラム、Wテクスチャーリペア、ARナイトリペア)を駆使して、「なんとか最高の肌の状態を6ヶ月キープし続ける」プログラムなのです。

勘違いしがちなのは、

「セラピューティックの流れをうけたまま、メンテナンスで更に改善していく」と思っている方がいることです。

セラピューティックで最上の肌になっている状態を理解してください。半年はそれが落ちないように必死で持ちこたえるための「メンテナンス」です。

半年をなんとか耐え抜いたら、トレチノイン・ハイドロキノンの耐性は抜けているはずですので、ふたたびセラピューティック・プログラムに戻ることが可能です。

なのでメンテナンスに移行すると、治っていたはずのシミが出てきてしまうという現象はさほど不思議な現象ではありません。

高濃度レチノールで「締める」か、IPLやイオン導入でさらに浸透性を上げる、サプリメントで中からシミの発生を予防する、洗顔やメイクの方法を変えてシミの根本的な発生原因から対処する、睡眠サイクルや生活スタイルを改善してアンチエイジングを目指すなど、やることはたくさんあると思います。

そもそもゼオスキンのセラピューティックが劇的であるため、ついついゼオスキンだけに頼りすぎになってませんか?シミができる原因が治ったわけではないのです。セラピューティックでカモフラージュされているうちに、生活スタイルや根本的なシミの原因に向き合い、改善を試みるべきでしょう。

ゼオスキンで悪化したときの対応で「大切なこと」

Image by Gerd Altmann from Pixabay 

いずれにしてもゼオスキンで一時的に肌の悪化を経験した方には、「ゼオスキンを中断する」という選択肢も含めて「早期改善」を目指します。

一度悪化した肌はなかなかもとに戻りません。不安が怒りに変わるときもあります。ユーザーのそういった気持を受け入れて、理解して対応することも販売する側には必要です。他の化粧品と大きく違う点がここにあると思います。

悪い反応が抜けた後の「指導」が特に大切です。強烈な反応を経験したユーザーさんたちはかなりの「不安」を抱いています。再び使ってよいのか、製品が自分に合わなくてまた使えば同じことになるのではないか。

製品に対して「怒り」を抱く方も多くおられます。こんなはずじゃなかった、こんなことなら使わなければよかった。

1回の悪い反応で、そこまで思い詰める必要はないと考えています。保険診療でも同じですが、どんな良い薬でも体調が整っていない状態などでは一時的に効きが悪くなったり、変な副作用が出たりもします。花粉症のアレルギー剤などは、いくら良い薬でも使い始めに眠気がでたり、効能が安定するまでしばらくかかるときもあります。高齢者に眠剤を使えば、最初は不穏が生じたりしますが、1−2週も経過すれば安定して落ち着いてきます。

ゼオスキンのシリーズも、1回嫌な反応が出たとしたら、まずはすぐに止めて反応が治まるまで使わないようにします。治まったら頻度を落として少しずつ使用する、もしくは原因を考えて使い方を変えると、上手くいくことがあります。当院でも最初使えなかったけど、半年後には手放せなくなるくらいファンになっている方は多く見ています。

ただ、最終的に継続するか、止めるかは自分次第です。所詮化粧品の一つです。ゼオスキンが合わなくてもそれにかわる別の化粧品はたくさんあります。それほど気にすることはありません。2−3回トライして、やっぱり合わないと思う方は、スパッと違う化粧品に乗り換えて気分一新スタートしましょう。こだわりすぎるのも良くないと思っています。

Photo by Amy Shamblen on Unsplash