難治性潰瘍の縮小期にソーバクトが案外良い。

慢性難治性潰瘍の治療を長期入院で多く扱っていると、治癒していくパターンが見えてきます。治療の初期、中期、後期にわけて、現在の自分の慢性潰瘍治療の流れと考え方をまとめます。最近ソーバクトによる創部浄化がヒットしている症例が多いので、そちらも紹介します。

1.治療初期 原因精査・原因除去

重度難治性潰瘍の患者さんが来院される流れとしては「外来に紹介状を持って(持たずに)突然来院される」、もしくは「地域連携室から紹介状付きで転院依頼」のいずれかです。

初診時には写真記録や問診を行い、たいていは感染を伴っていたり壊死組織を伴っていたりする創部なので、抗菌性軟膏や可及的デブリードマン、血流検査や採血検査など、病態に応じた検査・処置を行います。大切なことは以下の2点。

潰瘍の原因はなんなのか?(一つとは限らない)

除去できる原因はその場で除去する(病態に注意)

2.治療中期 治癒力改善

入院後しばらく創部のコンディションを整え、全身状態の安定化を図ります。単純に処置を継続するだけでなく、心不全や糖尿病のコントロール、嚥下評価から栄養摂取量の調整など、内科的な要素が盛りだくさんです。

しかるべき診療科の先生にコンサルトしながら、自分で色々文献を調べたりしながら、患者さんの治癒力を上げていく様々な「治療」を行います。

ポケットが有る潰瘍→ポケット切開

血糖値が乱れる→インスリン調整

心不全、不整脈あり→利尿・抗不整脈薬の調整

尿路感染あり→抗菌剤による治療

創部治癒が遅い→高気圧酸素の導入、創部処置の見直しNPWT導入

経口摂取がいまいち→STと相談、嚥下評価、食欲低下の原因探求、CVによるTPN管理

除圧不良→リハビリによる可動性UP、体位変換の指示、エアマットレス導入

不眠・不穏→内服調整にて対応

3.治療後期 縮小期・再建期

全身状態が安定し、創部の管理がうまくいくと、比較的大きな潰瘍を有する患者さんでも、どんどん創部が縮小して、熱を出さなくなり、血圧なども安定しはじめます。

この時期に入ると、転院後や退院後の環境をイメージしたリハビリが重要となってきます。

離床・歩行訓練ができる人なら、どんどんADLを安定させていきます。寝たきりの患者さんでも車椅子移動時にすこしでも補助になるような軸足の訓練や、排泄行動の補助など、やることはたくさんあります。

リハビリテーション科のPT,OT,STさんたちとのコミュニケーションは非常に重要です。当院では毎週入院患者さんの総合リハビリカンファレンスを行っています。

この時期の創部はすでに安定しており、肉芽で充填され、縮小待ちになっていることがほとんどです。退院、転院先でも行える処置を考え、「ユーパスタ」による抗菌性軟膏での毎日処置に最終的に落とし込んでいることが大半です。

最近は「創傷衛生(Wound hygiene(ウンドハイジーン)」という概念がよく取り上げられています。

創部表面の除菌をより精密に考えることで、臨界的定着(クリティカルコロナイゼーション)の状況を改善させ、治癒を促進させようという考え方です。

界面活性剤を含むプロントザン ゲルや、プロントザン ソリューションによる創面の洗浄などにより創部の浄化が、治療後期の縮小期を早めてくれます。

4.ソーバクトが良い

前置きが非常に長かったですが、この治療後期の保存的治療中に、プロントザンやカデックス、ユーパスタなどでなかなか創部の浄化がうまくすすまない症例に、「ソーバクト」の使用がヒットする場合が散見されます。

決して全例によいわけではありません。症例を選びますが、個人的には以下のような傷によいのではないかと考えています。

・創部が5cm以下の小さい難治性潰瘍

・今後外科的治療は考えておらず、ゆっくり縮小を待ちたいような状況

・感染は無いが、ガーゼ交換のたびに浸出液がねっとり付着(クリティカル頃内ゼーション)

・1週間〜2週間ほど治癒があまり進んでいないような気がする

・肉芽が常に浮腫状で色がイマイチよくない。

・カデックスもユーパスタもプロントザンも使ってみたがイマイチ

一見、ソーバクトは緑色の「昔の田舎の家の網戸」のような風貌ですが、あなどるなかれ。選択肢の1つにいれてあげると、もしその患者さんの創部にヒットすると2-3日の使用で劇的に変化します。

ここ1ヶ月で、当院でも2−3名の患者さんの創部がソーバクトにより「明らかな好転」が得られましたので、レビューを書かせていただきました。

あくまで個人的な印象ですが、興味或る方はご参考に!

メーカーのホームページへリンクを貼っておきます。

形成外科の最新記事8件