二重にしたいときに信頼できる病院とは
「まぶたを扱う手術の件数が多く、様々なシチュエーションに幅広く対応可能な技術と、基本的な手術スキルに長けた医師(がいる病院)」
切開法や埋没法、結果として二重になる眼瞼下垂手術など、二重を作る方法も様々です。
もし二重瞼をきれいに作りたいと思ったとき、どうやって病院を選ぶのがよいのでしょうか。
選ぶ基準は人それぞれと言ってしまえばそこまでですが、形成外科医師の視点から【自分が受けるならこういう先生】という意味で、色々考えてみました。
たくさんの「まぶた」を手術した経験
まぶたの手術は普通のほくろを取る感覚とはかなり違います。
まず皮膚が柔らかくてコシがないので、メスを入れるときに非常にコツがいります。力を抜いてメスの刃を滑らせるとよいのですが、やりなれていない人はかなり力が入って切開ラインが安定しません。
いくら丁寧にデザインしてもたくさんの手術経験がないと、いざ手術の操作でぶれてしまったら意味がありません。
若い人・年配の人、眼瞼下垂の強い人、弱い人などいろんなパターンの瞼の手術経験があると、その点は非常に有利です。
眼瞼下垂の保険診療では、たくさんの患者さんの治療を経験できますが、どちらかというと年配の患者さんのまぶたを触る機会のほうが多くなります。まぶた診療の専門性を認知されると、各種年齢層の患者さんが来院されるようになり、若年性の先天性眼瞼下垂や若い人のコンタクト性眼瞼下垂、偽性眼瞼下垂なども手術をするようになり、全年齢層に対応できるようになっていきます。
いきなり美容外科に参入した医師では美容のニーズの対応がメインになるため、比較的若い症例に偏った経験になる可能性はあります。ただ、二重の手術ニーズは若い人に多いので、高齢者のまぶた症例の経験がなくてもそれほど困らないかもしれません。
年齢・性別・個人差など様々な要素への柔軟な対応
上記でも言及しましたが、年齢による皮膚の構造弛緩の違い、肌のハリの違い、各構造物の位置関係、年齢によるサイズの大きさ、同じ年代であっても個人差があることなど、様々な要素に対してたくさんの経験があることで柔軟に対応が可能になります。
事前に予測できる状態もありますが、切開して開けてみてわかることもあります。思った以上に瞼板前に脂肪が多かったり、眼窩脂肪が多いパターン、少ないパターンなど、予想に反することもあります。
やはりこういった様々な症例に柔軟に対応できる力が、安定した手術には必要になると思います。様々なバリエーションの手術経験とそれらの応用力を身に着けていることが大切です。
基本技術がしっかりしていること
上記の応用力を身につけるには、「基本技術」がしっかりと身についていることが前提になります。何事もそうですが、手術についてもいきなり応用力が身につくことはありません。地道な基礎技術の繰り返しが、安定した基本技術になり、それが積み重なり応用力になっていきます。
一つの指標に「専門医」「指導医」という肩書があります。目安にはなりますが、基本技術の積み重ねを反映しているとはかぎりません。
特殊なジャンルの手術には「誰よりも経験があり、技術も優れている」先生であっても、まぶたの手術の経験が豊富とはかぎりません。まあ、そういう特殊ジャンルを得意とする専門医がわざわざ瞼の手術に参入することはマレですが、「餅は餅屋」、信頼できる病院を選ぶ基準としては、「まぶたの手術をたくさんしている先生」にお願いすることが、一つのポイントだと思います。
Photo by Amanda Dalbjörn on Unsplash