形成外科の外来手術の費用について
病院の診療を受けた場合の費用は、その診療内容によって変化します。基本の診察料金は同じですが、使った処置の材料や処置の内容ですべてコストが決まっています。一つずつの値段を説明して、患者さんに選んでもらうようなことはしません。会計に行って初めて「〇〇円です」と価格を提示されるのが当たり前な業種です。他の業種からすると後から値段を提示されるなんてありえない話だと思います。それもこれも国民健康保険のおかげで、全費用の3割負担での支払いで済むため、外来診療レベルではそれほど高額にならずに済み、このシステムが成り立っているものと思われます。
ちなみに現行制度では、75歳以上の者は、1割(現役並み所得者は3割。) 70歳から74歳までの者は、2割(現役並み所得者は3割。) 70歳未満の者は3割、6歳(義務教育就学前)未満の者は2割と定められています。
それが手術となると全体額が高額になるため、「当日の会計においくら持参したらよいのか」ということをよく聞かれます。実は市中総合病院の勤務医のほとんどが会計の詳細について即答できません。というのも診療報酬の計算が非常にややこしく、医事課のレセプトソフトなどで計算しなければ細かな額まで提示できないので、その日の会計がいくらになるかは受付で聞いてもらうほうが早いからです。〇〇指導料や〇〇加算など、単純に行なった診療の単価と材料費だけではないため、合計額は非常に複雑です。
日帰り手術をするかどうかを決めるのは外来の場です。それほど急ぎの手術でなければ、費用を聞いてから検討したいと思うのは当然です。手術の費用だけであれば診療報酬で決まっているので提示できますので、細かい薬剤や検査などは省いて価格を提示します。実際の総額はそれより増えますが、より詳細な計算を希望される方には受付での計算・提示も提案しています。
形成外科の日帰り手術で算定する機会の多い手術について紹介します。3割負担に換算した手術費用も( )で示します。1割負担の方は1/3、2割負担の方は2/3を掛けた費用です。
皮膚腫瘍・皮下腫瘍摘出術
K005 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)
- 長径2cm未満 1,660点 (3割負担:4980円)
- 長径2cm以上4cm未満 3,670点(3割負担:11010円)
- 長径4cm以上 4,360点(3割負担:13080円)
K006 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)
- 長径3cm未満 1,280点(3割負担:3840円)
- 長径3cm以上6cm未満 3,230点(3割負担:9690円)
- 長径6cm以上12cm未満 4,160点(3割負担:12480円)
- 長径12cm以上 8,320点(3割負担:24960円)
眼瞼下垂症手術
K219 眼瞼下垂症手術
- 眼瞼挙筋前転法 7,200点(3割負担:21600円、左右で43200円)
- 筋膜移植法 18,530点(3割負担:55590円)
- その他のもの 6,070点(3割負担:18210円、左右で36420円)
下肢静脈瘤(血管内焼灼術)
K617-4 下肢静脈瘤血管内焼灼術 10,200点(3割負担:30600円)
陥入爪手術
- 簡単なもの1,400点(3割負担:4200円)
- 爪床爪母の形成を伴う複雑なもの2,490点(3割負担:7470円)
爪甲除去術
K089 爪甲除去術 770点(3割負担:2310円、左右1趾で4620円)
瘢痕拘縮形成術
K010 瘢痕拘縮形成手術
- 顔面 12,660点(3割負担:37980円)
- その他 8,060点(3割負担:24180円)
短期入院の手術の総額は?
例えば2泊3日で眼瞼下垂症手術(局麻)の時の総額は、入院費用に加えて薬剤管理料や栄養食事指導料、薬剤(内服・点滴)費用などすべて込みにすると23000点くらいになります。3割負担で70000円前後くらいです。
下肢静脈瘤の1泊2日、血管内焼灼術の場合はおおよそ16000点くらいになりますので3割負担では50000円くらいが自己負担額になるでしょう.
細かい端数は使用した薬剤の量などでも変わりますので、概算しか出せません。
大体の額面がわかれば、手術を受けるプランも立てやすいと思います。