形成外科は今後需要が高まるのか?
コロナ禍の今、いろんな職種で大変な状況が続いています。病院も今日、明日がどうなるか分かりません。毎日コロナの影響を気にしながら、怯えながら、毎日の診療をこなしています。来院される患者さんのケアに勤め、手術を安全に確実に実施していくことに専念しています。
ふと、先のことが心配になるときがあります。医学は日々進歩しており、ワクチンも数ヶ月の先には実施が始まり、コロナも収束に向かっていることと信じて、自分たちは自分たちにできる目の前の患者さんに対応するだけなのですが。
形成外科の需要や存在意義は、この先5年後、10年後に果たしてどうなっているのでしょうか。臨床各科はこのコロナ禍に必死で対応して、なくなることのない医療ニーズをしっかり受け止め、新たな需要を探り、自分たちの存在意義を見つけ出そうと必死です。
形成外科の今後の需要を憂いていた時、m3.comで興味を引かれる記事を見つけたので読んでみました。
m3.com:将来も安泰!今後需要が高まりそうな診療科ランキング
https://www.m3.com/lifestyle/755516
m3.comに登録する医師を対象に5000人規模での調査。
「これから社会的に需要が高まっていくと思う診療科目をお選びください。」という質問についての結果が以下の通りです。
え・・・。形成外科が無い。
5000人の医師に調査したアンケートです。形成外科の需要が高まるとか、それ以前の話として、「候補にすら入れてもらえていない」という厳しい現実。
もしかしたら「そのほか」に入れられているのでしょうか。ただ、立場として近い皮膚科や耳鼻咽喉科などがワースト3に入っているところを見ると、選択肢に入っていたとしても形成外科はランク外(もしくは下位)なのでしょう。
形成外科医としては残念な記事
少し期待して見にいった記事だけに、「がっかり感」が強かったです。それと同時に、「形成外科こんなことでいいのか」という憤りも感じました。
個人的には形成外科の需要は非常に高いと感じています。ただし、保険診療の需要はどうしても重症度の低い疾患が多いため、運営の仕方によっては「居ても居なくても良い診療科」にもなってしまいます。
存在感をもっと高め、形成外科が出来ることをもっと市民の皆様にお伝えし浸透させ、他科医師にも必要性と診療科の勢いを感じてもらえるような、そんな診療科を目指さなくてはなりません。
美容診療は非常にニーズがある
ブログの記事を書いていても、美容関連の記事はアクセス数が非常にアップします。皆さんの興味が高いからです。形成外科医が保険診療も美容診療もどちらも詳しいかというと、そうではありません。大学医局を中心に形成外科を学んでいると、保険診療が主体となり、美容を学ぶ機会がほとんどありません。(医局や個人にもよりますが)美容を勉強に行った形成外科医は、そのまま美容の道に進んで保険側に戻ってこないというのも、一つの原因です。
一般の総合病院で保険診療も美容診療も両方対応できている形成外科は比較的少ないと思います。もともと幅広い診療幅を持つ形成外科ですが、市中総合病院での保険+美容診療にもっと力を入れて、様々な引き出しを有する総合形成外科診療が出来るようになれば、より多様なニーズに対応できるようになり、形成外科の存在意義も上がるでしょう。
需要が高まる診療科と言われるように、自分も含め形成外科医はもっと努力が必要です。