粉瘤が炎症を起こしたらどうしたらよい?

粉瘤が炎症を起こしたらどうする?

炎症を起こした粉瘤は、基本的には切開して内容物を排出させて炎症を沈静化させるほうが良い場合が多いです。粉瘤には「臍:へそ」のような、表層と交通していた部位(表層にもっとも近い部位)があり、そこを中心に内容が十分排出できる程度の切開を入れ、鋭匙(えいひ)と呼ばれる器具で内容と皮膜を掻き出して排出させます。

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鋭匙(えいひ):先端がスプーン状

当然触るだけでも痛みがあるので、局所麻酔を腫れている周囲や切開する直上に注射し、しっかり鎮痛させてから処置を行います。

内腔に溜まっているのは、皮膚の垢のようなものです。白くモロモロとして臭い匂いのする内容物をしっかり掻き出して全て除去します。このとき内腔の周囲に皮膜があるのですが、炎症を生じている場合は皮膜が一部感染融解していることがあり、うまく摘出できません。可能な限り除去して、最後に内腔を水で洗浄します。生理食塩水を使う必要はなく、水道水でOKです。

内膜は全て取れない時が多いですが、その辺は気にしないでいいです。まずは内腔をしっかり排出させて洗浄処置を繰り返しおこなっていれば1−2週間でかなり縮小します。

切開が小さかったり、内腔の掻爬が甘くて、内容物が一部残存しているような場合には1−2週間たっても、だらだらと排膿が続きます。初回の切開処置でしっかり中まで掻爬して綺麗にしておくことが治療のポイントです。

周囲の炎症が引くのを待つ。

切開排膿してすぐに根治術をするのは、あまり得策ではありません。1ヶ月ほど待機することで、周囲の炎症が引いて「摘出すべき腫瘍本体」が小さくなるからです。最終摘出の傷を少しでも小さくするために、切開排膿を行ってから1ヶ月ほどは保存的に待機しましょう。

時期が来たら、局所麻酔で残存している瘢痕・皮膜ごと1塊として摘出します。しっかり埋没縫合で内腔を合わせて瘢痕が目立たないように最小限の傷で摘出します。術後はテーピング療法を1ヶ月以上最低でも指導して行います。

これで再発もなく、瘢痕も綺麗な「粉瘤治療」の完成です。

できれば炎症を起こす前に摘出したほうがいい。

粉瘤は近くのかかりつけ医や皮膚科などで相談すると「脂肪の塊で良性だから置いといても良い」と説明されることが多いようです。実際良性なので、命に影響することはありませんが、嫌なタイミングで腫れてきたり、大きくなってから摘出すると手術の傷も大きくなったりと、あまり置いておいて良いことはありません。

見つけたら早めに形成外科に相談して手術を受けましょう。

皮膚腫瘍・皮下腫瘍摘出術の料金

K005 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)

  1. 長径2cm未満 1,660点 (3割負担:4980円)
  2. 長径2cm以上4cm未満 3,670点(3割負担:11010円)
  3. 長径4cm以上 4,360点(3割負担:13080円)

K006 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)

  1. 長径3cm未満 1,280点(3割負担:3840円)
  2. 長径3cm以上6cm未満 3,230点(3割負担:9690円)
  3. 長径6cm以上12cm未満 4,160点(3割負担:12480円)
  4. 長径12cm以上 8,320点(3割負担:24960円)