理想的なシミ治療とは?
実はシンプルにIPLとビタミンAを「しっかり継続」して「しっかり診療」すれば、ほとんどの方に満足してもらえる
2016年12月から地域の総合病院に「独自の目線」で美容診療を取り入れ、はや5年になります。だいたい美容診療を実践する先生方は、大手美容クリニックで数年修行をつまれ、ノウハウを学んだりしますが、私の場合は完全「我流」でひたすら教科書・文献を読み漁り、他院の治療をインターネットで調べ上げ、Youtubeという時代がもたらした素晴らしい「学びのツール」を恥ずかしげもなく、片っ端から1視聴者として聞きまくりました。
状況も「保険診療・勤務医」という看板のもとで美容診療を「片手間」に提供することからはじめました。
現在5年もやっていれば、さすがに形成外科の保険診療のベースに美容診療のエッセンスを加えて、なんとなく我流な美容診療が気がつけば出来上がっています。
お偉い先生方のご意見も、柔軟に吸収し、実際の治療感も身に着けた上で、現在自分が考える「理想的なシミ治療」というものについて考察したいと思います。
いわゆる美容クリニックの「営業トーク:美容施術の売上をあげるための最新機器紹介のようなシミ治療紹介」ではありません。ちまたのサイトには営業トークが溢れています。「最新のレーザー機器でシミが取れる!」なんてキャッチコピーに心踊らされてしまうあなたに捧げます。
なので、もしかするとここで紹介する内容は「古い」と思われるかもしれません。でも、新しい治療には「新機械のコストやブランド料金」も入っているかもしれません。古く感じて、どこでもよくある治療、それは「確実に効果があり、昔から揺るがない実績があり、皆が認めている治療」なのです。
純粋にシミの治療を「コスパよく」、「満足度も高く」、治療するために自分が思うポイントを3点にまとめてみました。
IPLとゼオスキンでほとんどのシミの悩みは解決できる(おまけQルビー、CO2、手術)
IPL(フォトフェイシャル)は非常に進化しています。顔全体に、適切な出力で、適切なショット数を、適切な当て方で照射していけば、それだけで確実にシミ改善効果が得られます。
ここでいう「適切な出力」「適切なショット数」が非常に重要です。ちまたのフォトフェイシャルがすべてそれを実践できているとはかぎりません。本当に正しい出力、正しいショット数で当てれば、必ず結果がでます。
「フォトフェイシャルは7−8回くらい当ててからでないと、効果が判定できませんよ」というワードは「ドボン」です。
「正しい出力、正しいショット数で当てていませんよ」と言っているようなものですね。
「当院のフォトフェイシャルはこだわりの出力、ショット数で当てていますので1回でも効果が感じられるはずです」とホームページなどで書かれている場合は「自信の現れ」だと感じます。ぜひそのクリニックで当ててみたいです。
IPL(フォトフェイシャル)と同じく、いやそれ以上の効能を発揮するのは「ゼオスキンヘルス」でしょう。言わずとしれた「トレチノイン・ハイドロキノン療法」の先駆者ですが、長年培われたDrオバジの技術は「とんでもない結果」をもたらします。言われたとおりにセットで朝・夕と化粧品を使っていくだけで「シミが確実に改善」します。セラピューティックは赤み、皮むけが出る「反応期」を耐える必要がありますが、レーザー・IPLが1日でやろうとしていることを2−3ヶ月かけてゆっくり効かせてくれる治療なので、それくらいの反応期は許容してほしいところです。
コロナ禍の「マスク生活」は、奇しくも全国のシミ治療希望者にゼオスキンを始める後押しになったようです。昨年大ブレイクし、全国的に品薄となり、当院でも院内からゼオスキン在庫が消えた時期がありました。数多くのクリニックが扱うようになり、ゼオスキンのポジションは今や揺るぎないものになっています。
ゼオスキンの治療で大切なのは「治療の舵取り」です。ゆっくり長く効かせる治療だからこそ、自分で判断が難しくなる治療です。医師と一緒に肌質をチェックしながら、数ある製品のセレクトや使用方法のアドバイス、反応期に対する対処法を相談しながら実践していくと、間違いなくシミは薄くなり、あわよくば「自分史上最高の肌質」にたどり着けるかもしれません。
ゼオスキンは「買ったら終わり」ではありません。2−3ヶ月使用していく上で、相談しやすい主治医の先生を見つけて、一緒に実践していくのがおすすめです。値段が安いから「モノ」だけ買って、我流で実践するのはおすすめ出来ません。
悪化させない、再発させないシミの治療
正直、IPL(フォトフェイシャル)とゼオスキンを併用すれば、あとはなにもいらないかもしれません。
3ヶ月目まではね・・・
そう、ゼオスキンの落とし穴「3ヶ月目以降の恐怖」です。セラピューティックの期間3ヶ月は、最初はトレチノインによるA反応との戦いに始まり、徐々にコントロール出来るようになります。みるみる結果がでる自分の肌をみて、「やってよかった」と思える3ヶ月目。そこでは自分の本来の肌質より120%級の美肌が得られています。
「肌のドーピング状態」です。決して悪い意味ではありません。シミ・シワ・毛穴などを改善したかった方にとっては、まぎれもなく理想の状態です。ただし、それはあくまで、「本来の肌質」ではなく「ドーピング状態」なのです。
メンテナンスコースに移行したあとは、ドーピングが徐々に取れてきます。当然メンテナンスに含まれる「高濃度レチノール」も良い働きをしてくれますが、さすがに120%が落ちていくのは抑えきれず、90−100%に保ってくれるのが精一杯でしょう。
人間、落ちていく感覚は「絶望」を感じます。たとえそれが120%から100%への落下であったとしても、絶望なのです。
ゼオスキンは「アップダウン」が理解できていれば、非常に有効な治療です。効能をしっかり勉強し、主治医に説明を受けて、今必要なことを常に実践していくことで、自分本来の100点肌(目標肌)をキープしていくことが可能です。
決して「3ヶ月後の悪夢」から慌てて別メーカーの製品に乗り換えたり、ドーピング状態に夢をみて「安い市販レチノールでいいじゃん」なんてやっていたら、痛いしっぺ返しが待っているかもしれません。
他になにか追加できないの!?っていう声が聞こえて来そうですね。個人的にはセラピューティック・メンテナンスを使いこなせれば他はいらないと考えています。でも心配なら「サプリメント(シナール・トラネキサム酸)」くらいの低予算で別のアプローチをおすすめします。内服療法は結構安心を買うような意味も含めておすすめです。
継続しやすいことも大切
つまりIPL(フォトフェイシャル)とゼオスキンで良いわけです。5年間これだけを実践してきて、たくさんの方に満足してもらってきました。IPLは特に最初が3回くらい、その後は年1回程度でも良いかもしれません。ゼオスキンはたくさん使いすぎず、ちびちびと使えば1セット3−4ヶ月は持ちます。これらの維持コストが高いと思う方は、製品を絞って予算に合わせていく必要があります。予算オーバーの治療は続きません。
どんな治療も継続は力になります。勉強やスポーツなら無理をして、一時的にがんばって結果がでなくても、体や脳にしっかりと刻み込まれ、得られるものはあるかもしれません。
美容治療はそうはいきません。何もしなければ人間は老いていきます。美容治療は続かなければ、その努力が無駄になってしまいます。それ以上に老いが押し寄せてきます。継続的にできる治療を選ぶことがとても大切だと思います。
Photo by Gabriel Silvério on Unsplash