フォトフェイシャル(IPL)は当て方次第

フォトフェイシャル(IPL)は当て方次第

フォトフェイシャル®は、ルミナス社製のIPLというマイルドな光を顔全体に照射し、様々な肌トラブルを改善していく治療です。は一般的には「光治療」「IPL:Intense Pulsed Light」と呼ばれ、特殊な波長の光を肌に照射することで肌のしみ、しわ、たるみ、毛穴の開き、毛細血管拡張など様々なトラブルを改善してくれる治療です。しみ・そばかすの原因となるメラニン色素に作用し、改善するとともに、真皮層にも働きかけることでコラーゲンを増生し、肌のキメや質感を整えます。透明感がアップし、ハリのある素肌がよみがえります。

レーザーとは異なるマイルドな光治療のため、痛みが少なく、施術時間は15分~20分、直後からメイクも可能でダウンタイムもないため、気軽に受けることができる美肌治療です。麻酔も不要で、ダウンタイムも少ないので、挑戦しやすい美容メニューと言えます。最新型M22のフォトフェイシャルの効果的な照射について解説します。

■効果

しみ・そばかす
くすみ
赤ら顔・毛細血管拡張
毛穴の開き
小じわ
ハリ感

どう当てれば、どれくらい当てれば効くのか

フォトフェイシャルM22は、光の届く深さにあわせたフィルターを変更することで色んな効能を生み出します。たとえば、シミに特に効かせたい場合は浅めを狙ったフィルター、たるみや毛穴、脱毛を狙う場合は深めのフィルターというように、目的別に設定されています。

上記のイラストのように、浅いところに存在するシミの治療には560nmのフィルターをセットして、シミを標的として照射します。

一方で、695nmのフィルターをセットすると、真皮の中層から深部に光が集中的に届くので、真皮が光のエネルギーにて引き締まり、毛穴や小じわ、たるみの改善が得られます。

表皮と真皮の境目に毛細血管が多い層があり、いわゆる赤ら顔はこの辺りの血管拡張が主体となります。こういった場合には590nmのフィルターで毛細血管を標的として光を照射します。

いろんな照射方法がありますが、m22を有効利用してフォトフェイシャルの効果を確実に感じられるようにするには、3巡+αの照射がベストと感じています。

①タイトニング照射 (695nm):顔全体の引き締め、毛穴の開きやシワの改善に特化したフィルターによる照射

②脱毛照射(695nm):口元、頰、下顎周辺の産毛に対する脱毛に特化した照射

③しみ・くすみ照射(560nm):スポットのしみや、顔全体の明るさ改善に特化した照射

特にお悩みの多い「しみ、くすみ」に関しては、全体照射とスポット照射の両方を行います。

大体、総ショット数は250-300ショットになることが多く、これにアレンジで「毛細血管拡張、赤ら顔照射(590nm)」も加えると350ショット近くなることがあります。

病院にもよりますが、少ないショット数(100ショット前後)で回数を多く設定している場合もあります。フォトフェイシャルは「毎月照射を5-6回してから効果が実感できる」という説明をされることがありますが、300ショット程度当てている当院のやり方では1回-2回だけでもかなり改善が認められることが多く、皆様満足していただいています。

フォトフェイシャルの効能

そばかす状のシミは劇的に改善することが多く、フォトフェイシャルの良い適応です。スポット状の濃いシミは、効くには効きますが回数が必要になるので、フォトフェイシャルにレーザーを組み合わせて照射することが多いです。フォトフェイシャルを全体照射し、スポットだけQルビーレーザーをポイント照射対応すると、1ヶ月後にはすっきり改善しています。

しわの改善も顕著に現れます。目尻、目元のシワの改善は、照射前後の写真比較をすると際立つので、フォトフェイシャルを受けるタイミングで必ず写真を撮影し、2回目以降は初回と比較するようにしています。

たるみについても顎の下あたりが引き締まり、顔のラインがシャープになることが多いです。フォトフェイシャルでたるみが取れた患者さんは、少し痩せた印象になりますので「痩せましたか?」と聞いてしまいますが、体重の変化はないので否定されてしまいます。

赤ら顔についての効果は少し遅れて現れます。それでも2−3回ほど照射すると、頬の下の方や外側から赤みの範囲が減ってきます。温度差で火照ることが減ったとよく言われます。

口周りの産毛(ヒゲ)については、脇や足の脱毛と同じく「毛周期」があるため3−4回照射すると効果が出てきます。顔剃りなどム毛処理が減って楽になるのと、化粧乗りがよくなること、あとは毛穴が縮小して目立ちにくくなり、きめ細やかな肌質になるなどの効果が得られます。

照射後の反応

照射直後しみ・そばかすに一致して少し赤みが出る程度です。2−3日すると小さな黒い斑点がポツポツと浮かび上がってくるように出ます。1週間ほどすると自然に洗顔しているうちに取れて、きれいになります。レーザー後のような色素沈着はほとんどありません。特にガーゼや軟膏などの処置は不要で、普通に基礎化粧品を使用してもらって、洗顔、入浴も通常通りでOKです。

次はいつ照射するのか

フォトフェイシャルは肌にとって強烈な光を照射する治療であり、あくまで「ダメージ」と考えます。連続での照射は推奨していません。うちではフォトフェイシャルとともにホームケアによる治療を積極的に勧めています。1ヶ月後にイオン導入で肌にビタミンを浸透させて回復させる治療を行い、その1ヶ月後に2回目のフォトフェイシャルを行います。

フォトフェイシャルだけで言えば2ヶ月ごとの照射です。一般的なやり方より間隔が空いていますが、1回300ショット以上当てているダメージを完全に抜いてから2回目を照射するほうが効果が高く、患者さんの費用負担も少なくて済みます。

個人的には少ないショット数で毎月4回照射するよりも、濃密照射で2ヶ月に1回の方が効果が出ているように感じます。これはレーザー治療の考え方に近く、フォトフェイシャルはダウンタイムが少ないとは言え、細かい「照射後炎症性色素沈着」は生じており、それらがしっかり抜けるのを待ってから2回目照射を行わなければ2回目のビームが色素沈着に邪魔されて本来の照射力が引き出せないためと考えています。レーザー治療であれば6ヶ月ほど色素沈着が引くのを待つことも普通です。2ヶ月開ける間に、ホームケアでしっかり改善して次の照射に備えます。ここをゼオスキンで整えあげれば完璧です。

あくまでホームケアが主役、引き立て役のフォトフェイシャル

この考え方も少し一般論とは異なるかもしれませんが、うちの病院ではフォトフェイシャルはあくまで引き立て役と説明しています。治療のメインはホームケアです。

たとえばホームケアが改善力の高いもの(ゼオスキンのシリーズなど)を使用している場合はフォトフェイシャルを行えばさらに改善の速度は上がります。半年くらいの間にぐんぐんよくなっていく印象です。もしフォトフェイシャルを使用しなくても良くなっていくには変わりありません。治療のメインはホームケアです。

ホームケアを改善力の乏しいもののまま、フォトフェイシャルを追加しても、1−2ヶ月の待機中にホームケアによる「押し上げ」がないため、徐々に劣化が進んでしまいます。無理に回数をふやしてフォトフェイシャルで維持させようとしても、ダウンタイムが生じてしまいますし、費用負担も増えます。

ここまで説明しておきながら微妙な話ですが、正直なところ、フォトフェイシャルをしなくても、ゼオスキンの改善力が半端なく強いため、予算に限りがある方にはフォトフェイシャルよりもゼオスキン のホームケアによる対策を優先させています。

フォトフェイシャルはあくまで「引き立て役」です。でも映画でもドラマでもそうですが、「引き立て役」にしか出来ない良い仕事をしている感じです。

フォトフェイシャルが美容診療を受けるきっかけになっている方も多くおられます。当院では、まずはご希望の施術を受けられて、信頼関係が出来てからホームケアの治療に移られる流れが非常に多いように思います。